物流―エコロジスティクス

部品調達、生産拠点間の輸送および製品をお客様にお届けするまでの物流段階で、環境負荷を軽減するため、全世界でモーダルシフトの推進、輸送効率・輸送方法の改善および段ボール・パルプモールドといった紙系梱包材の採用などさまざまな取り組みを行っています。

物流網の改善によるCO2排出量削減

生産工場からの出荷

トラックコンテナ輸送 写真
トラックコンテナ輸送
鉄道コンテナ輸送 写真
鉄道コンテナ輸送

プリンター・複合機生産の主力工場である中国工場は、広東省東莞市に所在し、生産された製品は、主にトラックで深圳塩田、蛇口などの港まで輸送し、そこで船積みを行い世界各地へ出荷していました。しかし、2012年7月から、深圳塩田港へ輸送する製品を東莞常平駅から深圳塩田港までを、トラックと鉄道輸送を組み合わせたモーダルシフトに切り替えました。従来のトラックだけで輸送する場合にくらべて、輸送に伴うCO2の排出量を1/10以下に削減することができました。また、2013年7月には工場の近くに新しくできた石龍港駅の利用を開始することにより、トラックの輸送距離を短縮しCO2排出量が削減できました。

在庫拠点

以前は、海外工場で生産された当社製プリンターの、日本における在庫拠点は大阪府枚方市の1カ所のみで、そこから全国に製品を配送していました。しかし、2017年10月に新たに埼玉県八潮市にも在庫拠点を設け、西日本エリアは枚方市から、東日本は八潮市からお客様に製品を配送することにより、トラックの輸送距離を短縮しCO2排出量を削減することができました。

製品の在庫、配送物流

コンテナラウンドユース推進

枚方工場では、2013年8月より製品輸入に使用したコンテナを、部品輸出に使用するという自社内でのコンテナラウンドユースを立ち上げ、運用を開始しました。
従来は、輸入に使用したコンテナは空で港へ返し、輸出に使用するコンテナは空で港から運び込み使用していましたが、ラウンドユースを実施することによりコンテナを効率的に使用でき、CO2排出量を削減できました。また、2015年9月から枚方工場近隣他社と協業したコンテナラウンドユースの運用を立ち上げ、さらなるCO2削減を推進しています。

自社内コンテナラウンドユース推進図

包装材削減の取り組み

当社は、2004年から2020年まで、日本パッケージングコンテストを17回、パッケージングの世界大会であるワールドスターを10回、それぞれ受賞しました。これは、製品をお客様のもとまで無事届けるための梱包を開発することを常に念頭に置きつつ、無駄のない梱包設計を行うことで、使命が終わるとゴミとなってしまう梱包材の削減に取り組み続けてきたことによって成し遂げられた成果である、と自負しております。ここに、当社が取り組んできた取り組みについて紹介いたします。

  1. 1小型プリンタースマート包装
  2. モノクロA4プリンター「ECOSYS FS-1040/1060DN」の梱包では、プリンター本体と本体ケース内側との緩衝距離を、これまでの50-60mmから、紙系緩衝材としては業界初の30mmに縮めることにより、本体ケースのコンパクト化を達成しました。このコンパクト化により、緩衝材使用量の削減はもとより、1つのコンテナで運べる台数が、これまでの最小サイズのプリンターであった、モノクロA4プリンター「ECOSYS FS-1300D」の1.8倍となったことで、輸送効率が大幅に改善され、CO2の削減に貢献しています。 また、プリンター本体と本体内側ケースとの距離を短くすると、製品を箱から取り出す際、箱に手が入りません。この課題を解決すべく、製品を保護する袋に取っ手を付けて箱から引き上げる方式に変更し、取り出しやすさの向上も同時に達成することができました。

    製品保護袋(取っ手をもって引き上げる様子)
    製品保護袋
    (取っ手を持って引き上げる様子)
    緩衝距離30mmを実現した包装
    緩衝距離30mmを実現した包装
  3. 2「ECOSYS FS-4100DN/FS-4200DN/FS-4300DN」の梱包材の削減

モノクロA4プリンター「ECOSYS FS-4100DN/FS-4200DN/FS-4300DN」の本体ケースの梱包は、パルプモールドの形状を工夫して、上記小型プリンター同様、緩衝距離30mmを達成しました。これにより、プリンターの大きさが約5%大きくなったにもかかわらず、前身機のものと比較して約30%の減容を達成することができました。また、前身機の梱包仕様ではセットアップ用同梱トナーをプリンター本体の上に配置していましたが、本体内部にトナーを配置するなど設計を見直し、その結果として、上記の梱包材削減を達成するとともに、本体ケースの梱包が小さくなったことにより、1台あたりの輸送費を30%も削減することができました。これらの機種以降の当社プリンターは、同梱トナーを本体に内蔵して包装材の削減に継続して取り組んでいます。
今後も我々は、梱包材の削減と本体ケースの減容化に取り組み、地球環境対応に貢献していきます。

「ワールドスター2021電子部門」を受賞

ワールドスターのロゴ

当社の複合機に搭載されている両面自動原稿送装置の包装材が、世界包装機構(WPO : World Packaging Organization)が主催するワールドスターコンテストにおいて「ワールドスター2021電子部門」を受賞しました。

このコンテストは、各国のパッケージングコンテストで入賞した製品包装のみがエントリーすることができる、国際的に権威のあるコンテストです。コンテストでは、包装材の環境適合性、経済性、独創性などを審査し、特に優れた作品に「ワールドスター」が授与されます。今回の受賞で10回目となりました。

今回受賞した、段ボール緩衝材を用いた両面自動原稿送装置の包装は、製品のライフサイクルを通じ、二酸化炭素の排出量の低減と、有害物質の排出を削減するため、全ての緩衝材にプラスチックを使用せず、段ボールだけで構成しています。また、いかに緩衝材を増やすことなく強度を保つかという課題に対して、これまで廃棄されていた部分を有効利用するとともに、緩衝材の形状を工夫することでその課題を解決し、また、当社の厳しい包装試験に耐えられる強度を誇ります。
なお、本作品は昨年日本で開催された2020日本パッケージングコンテストにおいて「工業包装部門賞」を受賞しております。日本パッケージングコンテストは、公益社団法人 日本包装技術協会の主催により、優れたパッケージとその技術を開発普及させることを目的に、毎年開催されている日本の包装分野における最大のコンテストです。
当社は、今後も包装材を必要最低限にできるよう削減に取り組み、環境対応に配慮した包装設計を続けていきます。

緩衝材のカットモデル
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稲盛和夫オフィシャルサイト