INKJET BUSINESS インクジェット事業

インクジェット事業とは?

京セラドキュメントソリューションズの持続的成長を担って発進、新たな市場に挑む

当社は従来、粉体トナーを用いた電子写真方式の複合機・プリンターを市場に供給してきました。しかし現在、複合機・プリンター市場は成熟しており、さらにオフィスのペーパーレス化が叫ばれる中、今後大きな市場拡大は望めません。そこで新たな成長・発展に向けた事業軸の一つとしてインクジェット関連の基礎開発を開始しました。商業用インクジェットプリンターが印刷する対象は「紙」ですから、ペーパーレス化の進展に伴い縮小傾向にあるのは事実です。しかしそのほとんどは(約95%)、オフセットなどによるアナログ印刷です。デジタル化はわずか約5%であり、デジタル化が加速している今、商業用デジタル印刷分野は成長市場と位置付けました。2017年から本格的な開発に取り組み、2020年1月、当社で初となる商業用インクジェットプリンターを市場に投入しました。一言で「商業用」といっても幅広いものがあります。私たちがターゲットとしているマーケットは、少ロット多品種、バリアブル印刷と呼ばれる、ダイレクトメールをはじめとしたカタログやチラシなどの印刷領域です。さらに「紙以外」の布やフィルムなどのメディアへの印刷を対象とした産業用インクジェット事業を展開していく計画です。この新しい取り組みによって、京セラドキュメントソリューションズの持続的成長・発展に貢献していきたいと考えています。

インクジェット事業の技術

オフィス機器の要素を継承した
新たなインクジェット印刷システム

商業用印刷は、その大半がアナログ印刷機で印刷されています。しかし、アナログ印刷は消耗品が多くメンテナンスに手間がかかることや、「版」を必要とするため、版を調整するための労力・時間に加え、その保管場所やコストを要すること、さらに、印刷オペレーターの人材確保・育成に時間がかかるというさまざまな課題があります。そのため、版が不要で、メンテナンスや操作が容易なデジタル印刷のニーズが高まっています。さらに、昨今の小ロット・多品種印刷や短納期対応の需要の増加に伴い、デジタル印刷への移行が加速しています。
また、印刷機を価格帯と生産能力で見てみると、商業用印刷は従来、雑誌やチラシなど同じコンテンツを大量に印刷することを得意とする高額なオフセット印刷機や大型のインクジェット機と、小ロット・多品種印刷などに対応し、低価格帯であるものの、月間印刷枚数に上限があるトナー機という大きく二つのカテゴリが市場を占めていました。 それら二つのカテゴリの中間に位置する、“高い生産性を持つ導入しやすい価格帯の印刷機”という「未踏の領域」を狙った製品が、当社の商業用インクジェットプリンターです。

京セラグループの総合力、技術アセットが集約された製品

当社の商業用インクジェットプリンターが、「未踏の領域」を開拓できた背景には、オフィス機器開発で長年培われてきた優れた技術力があります。画像処理技術や紙搬送といった基本的なプリンターに関する技術力、インクジェットプリンターのキーデバイスである「プリントヘッド」を京セラグループが製造販売していることに加え、インクの自社独自開発・製造を可能としたケミカルエンジニアリングです。特にインクは印刷品質にかかわる乾燥との闘いがあります。このような技術的な課題を解決することで、圧倒的な生産性と低消費電力を実現しました。

長寿命化や水性インクの開発などで環境負荷の低減を実現

当社は、オフィス用複合機「エコシスコンセプト」で、製品の長寿命化技術を培ってきました。それをインクジェットプリンターにも展開することで、環境負荷の低減を実現しています。
長期間、大量に印刷する商業用・産業用印刷機器の課題の一つに消耗部やメンテナンス目的の交換部品を必要とし、それによって廃棄物が大量に発生することです。当社製品はインクジェット技術を中心に長寿命化を実現する事で、廃棄物を極小化しています。またインクは、有機溶剤系インクやUVインクより環境に優しく耐光性・耐水性に優れた水性顔料インクにこだわった開発を進めています。さらに、デジタル印刷で少ロットオンデマンド印刷による短納期化を可能とすることから、印刷物そのものの廃棄量削減にも大きな効果を発揮します。

インクジェット事業のVISION

世の中にない価値の創造を目指してチャレンジする

当面、目標としているのは、第2世代の商業用インクジェットプリンターの開発です。現在市場に供給している第1世代は普通紙対応のインクジェットプリンター。目指すのは、ポスターや写真集などの高画質印刷に採用される光沢紙対応のインクジェットプリンターで、近い将来には市場に投入する考えです。同時に進めているのが、「紙以外」への印刷を対象とした産業用インクジェットプリンターの開発です。「産業用」はあらゆるメディアが印刷の対象ですから「商業用」よりも市場は大きく、またデジタル化率も低いことから、大きなビジネスチャンスが広がっています。いつでもどこでも、必要な分だけお客様が表現したい画像を印刷できる、そんな価値創造を目指して技術開発やビジネスモデルの検討を進めていきます。そして5年以内に複合機と並ぶ、京セラドキュメントソリューションズの事業の柱に育てていきたいと考えています。私たちの取り組みは、世の中にない価値を生み出すという技術開発であり、それはワクワクする素晴らしい仕事です。乗り越えるべき課題も少なくないですし、時には大変な難局に行く手を阻まれることもあります。しかし、自分たちが行おうとしている価値創造の社会的意義を信じ、一緒に仕事をする仲間を信じ、何より自分を信じて高い目標に正面から向き合う勇気=チャレンジ精神が、新たな価値をもたらします。こうした考えに共感・共鳴してくれる若い人の意欲・情熱に期待しています。

内田 進一 UCHIDA SHINICHI 技術本部 DPS統括技術部 部長
1993年入社

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