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PEOPLE 08

粉体トナーから インクジェット用インクまで、 新しいものを創出することに挑んできた。 これからもチャレンジに終わりはない。 粉体トナーからインクジェット用インクまで、新しいものを創出することに挑んできた。これからもチャレンジに終わりはない。

PROFILE

技術本部 DPS統括技術部
2012年入社
工学研究科 応用化学専攻修了

これまでのキャリアステップ

入社1年目
画像解像度の向上に向けた新規トナー開発を担当。
入社3年目
トナーを運ぶ役割を担う、微粒子からなる粉体「キャリア」開発を担当。
入社5年目
育児休暇から復帰。理論的に材料を設計する「トナーモデルベース」設計を担当。
入社6年目
商業用・産業用インクジェットプリンター用インクの開発を担当。翌年から育児休暇。
入社9年目~現在
「課責任者」として産業用インクジェットプリンター用インク開発のリーダーを担当。

現在の仕事内容

産業用インクジェットプリンター用インクの開発。
「紙以外」への印刷という
まったく新しい領域に挑む。

当社は2020年1月に、商業用インクジェットプリンターの市場に参入しました。それまで粉体トナーを用いた電子写真方式の製品開発を行ってきた当社にとって、新たな事業領域への進出であり、画期的なイベントと言えるものです。続いて産業用インクジェットプリンター市場への参入を目指し、現在私はインクの新規開発を担当しています。「商業用」は出力素材が「紙」であり、「産業用」は「紙以外」です。たとえば、布やフィルム、タイル、内装クロスなどさまざま。「商業用」の知見は蓄積したものの、「産業用」は「商業用」と異なるため、要素開発、基礎研究の段階にあります。「商業用」の場合、多くは印刷された情報が価値を有しますが、「産業用」はデザインなどがプリントされた服のように印刷物自体が価値を持ちます。したがって印刷には今まで以上に高度な品質が求められます。プリンターが使用される場所も、これまでのオフィスやコンビニエンスストアなどとは異なり過酷な環境も想定されます。そうしたさまざまな要素を考慮し、手探りの中で製品設計と並行してインク開発を進めています。

仕事のやりがい

デジタル印刷の可能性を探り
実現していく面白さ。
「インク」のことは
一番知っている自負と責任。

私は「商業用インクジェットプリンター」の本格的な開発が開始された2017年から、一連のプロジェクトに参加してきました。「商業用」は主にダイレクトメールやカタログ、ちらし、伝票など多品種小ロットの印刷物に採用されていますが、その特長はデジタル印刷であるということです。現在でも同じ原稿を大量に印刷する場合は、アナログ印刷であるオフセットが主流ですが、デジタル印刷だからこそ可能になることも少なくありません。たとえばデータに基づいて内容を変え、個々に向けて印刷物をカスタマイズするなど、印刷の可能性を大きく広げます。デジタル印刷の可能性を探り、実現していくところに仕事の面白さもあります。また、当初から関わっていることからインクのことであれば一番知っているという自負もあります。新規事業をけん引している手応えもあり、その中に責任と同時にやりがいを感じています。また、私は5名のメンバーを率いるマネージャーという立場。自発的に考え動いてくれる、やる気溢れるメンバーですが、私からも「場・機会」を与えていきたい。少し背伸びして届くような「場・機会」が成長につながっていくと思っています。

これまでのキャリアで得た
              そして成長

キャリアの節目、多彩な知識とスキルを吸収した、
商業用インクジェットプリンター用のインク開発。

「商業用インクジェットプリンター用インク」の開発は、私のキャリアの中でも大きな節目となるものでした。インクジェット方式は、水系インクを採用することから湿度や水分との闘いが待っていました。湿度・水分による「カール」と呼ばれる紙の湾曲。紙が水分を含んでブヨブヨになる現象です。これを溶剤と水を適正に調整してクリア。さらに「乾燥」という課題もありました。用紙に吐出されたインクに速乾性がないと、接触した部品にインクが付着するなどの不具合が生じます。一方、乾燥が早いとインク粘度が上昇して吐出が不安定となり、印刷品質を低下させる可能性もあります。このトレードオフの関係にある「乾燥」の最適化をさまざまな工夫とアイデアで実現しました。結果として、インクに関する多彩な物性などの知識・ノウハウを吸収しました。同時に一連の取り組みで得たことの一つが、責任感。自分が開発したインクがプリンターに搭載され実際に使われることを目の当たりにし、「作る者の責任」を強く感じました。また、当社は機器メーカーであり、自分のような化学のバックグラウンドを持つ人は少数派です。そのため、たとえばインクの技術説明を行う際、数少ない有識者として分かりやすく説明する必要があるため、プレゼンテーション能力も向上したと思います。さらに、チームで一つの製品を作り上げていくので、チームビルディングやコミュニケーションのスキルも得たと感じています。

今後のビジョン

「楽しく仕事をする」ために新しいことにチャレンジしていく。
女性がイキイキと長く働き活躍するロールモデルでありたい。

現在開発中の、産業用インクジェットプリンターを少しでも早く世の中に出すのが当面の目標です。インクメーカーではなく機器メーカーである当社がインクを開発する強みは、インクで補えない機能を機器で、機器で補えない機能をインクで互いに補い合い、高め合うことによって、より高い価値をお客様に提供できる点にあると思っています。今後もフットワーク軽く、高くアンテナを張って、新しいことにチャレンジしていきたいです。私が、モットーとしているのは「楽しく仕事すること」ですが、その楽しさの源泉はチャレンジすることです。そのため5年後も10年後も、常にチャレンジするエンジニアでありたいと強く願っています。個人的な将来の夢は、自分が開発した製品で印字した商品を子供に見せて自慢することです。だからこそ、自分でも購入できるものを作りたいという気持ちもあります。現在、時短勤務で二人の子どもの子育て中ですが、私たちの会社ではジェンダーや育児・介護等のさまざまな立場の方が活躍できるように、多様な働き方が選択できるようになってきています。社員一人一人がイキイキと働ける環境や制度が整備されています。私のように子育てしながらでも、イキイキと長く働き活躍できるロールモデルとなれるように、楽しんで仕事を続けていきたいと思っています。

SCHEDULE

1日のスケジュール例

  • 8:45

    業務開始
    朝礼を終えた後、メールチェック。
  • 9:00

    課内ミーティング
    自身や他のメンバーの業務の進捗を確認。コロナで在宅も増えたため、基本オンラインで開催。
  • 10:00

    進捗確認会議
    同じ部内の別チームと進捗の確認会議。別チームから的確なアドバイスをもらうことも多い。
  • 11:00

    社外メーカーとの打ち合わせ
    インク材料メーカーなど、社外の方とのオンライン打合せ。
  • 12:00

    昼食

  • 13:00

    会議用資料作成
    会議用のプレゼン資料作成。実験データや今後の方針、スケジュールをまとめる。特に最近は、別の分野の方へインクの説明する機会が多いため、わかりやすく自分の意見を伝えるため、周囲に意見を聞きながら資料作成。
  • 16:00

    メンバーの実験進捗確認
    実験室で会話をしながら、意見交換を行う。メンバーの相談に乗ることも。
  • 16:30

    業務終了(時短勤務制度を利用)

TOPICS

オフタイムの過ごし方

休日は、平日にできない家事をまとめてしたり、子供たちと近くの公園に行ったりしています。コロナ禍になる前は連休に家族で旅行に行くことも多かったのですが、なかなかできなくなってしまったので、最近は公園で遊んだり、近場の温泉などに出かけたりしてプチ旅行を楽しんでいます。また、平日にあまり一人の時間を取れないので、たまにですが、主人に子どもを任せて、一人で買い物に行ったり友人と会ったりして、リフレッシュしています。