PROJECT STORY O2 新たな地平を開き、
進化を加速させる
「ECM/CSPソリューション事業」が
発進。

INTRODUCTION

紙媒体に代わって文書・情報を電子データとして生成・保存・活用するペーパーレス化―。業務効率改善やコスト削減などが期待できるものとして、近年急速に普及拡大が進んでいる。ITの浸透を背景にしたこのペーパーレス化のトレンドは、複合機メーカーにとって厳しい時代の到来を意味している。事実、成熟国を中心にオフィス向け複合機の市場は飽和状態で、各メーカーともさまざまな取り組みが始まっている。それは、京セラドキュメントソリューションズにおいても同様だ。一方で、デジタル化の加速により、企業内におけるドキュメントデータ量は増加し、膨大な情報を効率的に管理・運用するニーズが高まりを見せている。京セラドキュメントソリューションズは、こうした市場変化や顧客ニーズに対応する新しい取り組みとして「ECM / CSP」事業に参入、新たな事業の柱とするべく、積極的な市場開拓が始まっている。

高石 浩之HIROYUKI TAKAISHI
BS営業統括部
部長

STORY O1

生産性向上に貢献する「ECM / CSP」。
“知識を仕事に活かす。”を体現。

「ECM / CSP」とは、「Enterprise Contents Management / Contents Service Platform」の略。テキスト、画像、動画、音声など、さまざまな形式であらゆる場所に存在する多様なデータを情報として連携・認識・整理・活用することで、顧客の業務の生産性向上に貢献するソリューションである。たとえばワークフローを自動化するほか、基幹システムやデータベースとシームレスに連携できるため、パソコンやモバイル端末から社内情報の横断的な検索を可能にすることができる。この「ECM / CSPソリューション事業」をけん引するのが、BS統括部部長の高石浩之だ。
「私たちには、複合機・プリンターの製造・販売を通じて作り上げてきたお客様との強固な関係があり、その中で積み上げてきたドキュメントの出入力にまつわる知識・ノウハウ、経験が蓄積されています。したがってECM / CSPとは接点があり親和性が高いと判断し、市場に参入しました。お客様が社内で利用されているさまざまなドキュメントや写真、動画などのあらゆるコンテンツを整理・分類するとともに、社内外に存在する多彩なシステムやサービス、さまざまな場所で働く人をつなぎ、お客様が有する知識を効率的に仕事に活用できる仕組みを提供することが、私たちのミッションです。当社が掲げているブランドメッセージである、“Put knowledge to work.= 知識を仕事に活かす。”を体現する取り組みと言えますね」。京セラドキュメントソリューションズでは、これまで複合機・プリンターといったハードウェアを企画、開発、製造、販売することを事業の中心としており、基本的にはお客様に届ける価値を複合機・プリンターの中にあらかじめ詰め込んで提供してきた。一方で「ECM / CSPソリューション事業」はお客様ごと、業務ごと、あるいは国ごとに異なる課題や市場環境の変化に対応し、柔軟に価値を提供することが求められる。複合機・プリンターと親和性がある事業とはいえ、新たな領域への果敢な挑戦であった。

STORY O2

グローバルで技術・人・経験を集結
新しいソリューションの創造

「ECM / CSPソリューション事業」が構想されたのは2015年。事業化推進にあたってまず着手したのが、ECM / CSP技術を有する海外事業者を傘下に収めることだった。海外事業者が持つ商材を京セラドキュメントソリューションズのチャネルに合わせて再構成し、市場を開拓していくという戦略である。2015年、ドイツのサイオニックテクノロジーグループのM&Aを皮切りに、2017年アメリカのデータバンク社、2020年ドイツのECM事業リーディングカンパニーであるオプティマル システムズ社、フランスのエヴァーチームソフトウェア社の株式を取得しグループ会社とした。さらにECM / CSPソリューション事業では、グローバルな考え方と多様性が重要になることから、国内外から異なるバッググラウンド、スキルを持った多くのメンバーが結集。企画・営業推進、プロジェクトマネージャー、ソフトウェア開発者、クラウド関連技術者、AI関連技術者、UX/UIデザイナーなど多様な人材をアサインし、事業スタートに向けて体制を整備した。
「ECM / CSPソリューション事業」の最初のサービスとして「KYOCERA Capture Manager」を市場に投入した。これは人手による文書の仕分け作業やデータ入力作業などの手間を削減し、ワークフローを自動化するソリューションである。
その後、傘下に加わった海外事業者の技術を使った使いやすさに配慮した文書管理ソフトウェア「KYOCERA Smart Information Manager」を投入し、先にリリースした「KYOCERA Capture Manager」と連携し、文書の仕分け、データ入力作業から文書管理までの一貫したソリューションの提供が実現された。
さらに、2021年に当社初のグローバル展開のクラウドサービスである「KYOSERA Cloud Print and Scan」を市場に送り出した。このサービスは、働き方の多様化に対応し、印刷物からの情報漏えいを起こさないセキュアな環境を提供するクラウドアプリケーションで、場所やデバイスが変わっても、効率的な印刷やスキャンが可能である。「2021年7月に欧州でリリースし、その後オーストラリア、日本でのリリースが完了しました。2022年3月にはアジア各国で、4月にはアメリカでも販売が開始されました。このサービスは、日本のコンビニで展開中のAnytime Print(※)で培った技術・経験をベースに、本社(大阪)が企画を主導。クラウドサービスの開発はアメリカの開発拠点である京セラドキュメントソリューションズデベロップメントアメリカと、プロジェクト全体の統制はみなとみらいリサーチセンター(神奈川)が担った共同開発であり、企画から市場リリースまで約10ヶ月という短期間で市場リリースを実現できました。クラウド型の印刷・スキャンソリューション分野は成長市場であり、今後も市場の声に耳を傾けながら継続的にサービスの進化に取り組むことで、市場創造の一翼を担っていきたいと考えています」。 ※Anytime Print…パソコンやモバイル端末から「 Anytime Print」にアップロードし、対応マルチコピー機が設置された店舗からプリントアウトできるクラウド型ネットワークプリントサービス

STORY O3

「顧客中心」の考え方が差別化のファクター
全ての国、地域のお客様に感動を届ける

ペーパーレス化という市場環境の変化を受けて、京セラドキュメントソリューションズのみならず事務機業界全体が、文書の電子化、電子文書・情報の管理・運用の効率化ソリューション・サービスの提供に活路を見出そうとしている中で、いかに差別化を図っていくのだろうか。
「新たなサービス・商材の開発によって差別化を図っていく必要はありますが、商材自体だけでの差別化は難しくなってきています。当社ではお客様のニーズにできる限り応えようとする顧客中心の考え方が基本にあります。複合機・プリンタービジネスにおいてもお客様のニーズに柔軟に対応してきました。それは当社が培ってきた風土であり、カルチャー。この考え方は本事業を推進する中でも生きており、この顧客中心の考え方を進歩させ推進していくことが、差別化のファクターの一つになると考えています」。
京セラドキュメントソリューションズには、顧客中心の考え方で、顧客にとって最善かつ最適な価値を提供するという考えがビジネスの根底にある。そのスタンスがあるからこそ、世界160以上の国と地域に事業を展開できているのだ。欧州、アジアから始まった「ECM / CSPソリューション事業」においても、グローバルに全ての国・地域で展開していく計画だ。その中で、今後の展望やビジョンをどのように描いているのだろうか。
「お客様は一人一人、異なった状況・課題を抱えており、必要とするソリューションもさまざまです。世の中には数多くのサービス・商材があふれており、課題を抱えたお客様の中には、自分たちに最適なものが何なのかわからない場合や、今検討しているソリューションやサービスが自分たちにとって本当に有益かわからないお客様も少なくありません。一方で、業務の非効率さやリスクに気付かないケースや、時間や予算に余裕がなく検討すら始められていないお客様も数多くいます。私たちはこうしたお客様に寄り添い、課題解決をサポートしていくことで生産性向上に寄与し、クリエイティブな仕事に集中できる環境や仕組みを提供していきたい。お客様に感動、喜びを与えるサービス、ソリューションを継続的に提供していくことが目標です」。
「ECM / CSPソリューション事業」の推進は、デジタルの社会への定着を図る試みの一つだ。高石の想いは、全ての人や企業がデジタルの恩恵を受けられる「誰一人取り残さない」ための取り組みへと繋がっている。