捺染インクジェットプリンター「FOREARTH」とファッションブランド「ANREALAGE」のコラボレーション作品第2弾が、2025年春夏 パリ・ファッションウィーク®で発表

森永 邦彦氏からのコメント

今回のコレクションのコンセプトは「WIND(風)」です。目に見えない風の力を可視化しました。洋服にはファンが付いており、ファンから風を洋服の中に送り込むことができます。ファンがONになると、送り込まれた風によって、日常的なフォルムだった洋服は、非日常のフォルムに変形していきます。風が止むと、洋服のフォルムは再び重力によってドレープの出るデイリーウェアに変わります。またファッションにはなくてはならないグラフィックデザインを通じて、風を可視化できるのではないかと思いました。通常のグラフィックプリントは、重力の概念がなく、規則正しく整列されていますが、もしもそこに風が吹いたとしたらグラフィックのパターンそのものが地球上の重力から解放され、自由に空に舞うのではないかと考えました。花柄は花びらが舞い、水玉や市松柄や千鳥柄やタータンチェックでさえも、自由に空間を舞うようなグラフィックデザインをつくりました。グラフィックで包まれたテキスタイルの空間の中に風が送り込まれることで、コレクションテーマである風を服のフォルムと視覚的なビジュアルで表現しました。
「FOREARTH」を使用した理由は、風と水には密接な関係があると考えたからです。本来、風が吹くことで海面に波が起き、その波が海流となり、蒸発して雲が発生します。雲が生まれることで、地上に雨が降り、地球上の水の循環が生まれます。風と水は、環境にとって切っても切り離せないものだと考えています。水を最大限使わない「FOREARTH」の特徴に親和性を感じ、プリント技術として採用しました。
また、今回の洋服で特筆すべきことは服に風が送り込まれることで、宙を舞うように軽やかにテキスタイルが膨らんでいくという部分でした。そのため、一平米あたり23グラムという軽量の薄く軽いテキスタイルを採用していますが、その上にプリントをのせることで、テキスタイルの重さや軽やかさに影響を与えない技術が求められました。通常の顔料インクジェットプリントは、重く、硬くなってしまう印象がありますが、「FOREARTH」により、軽く、柔軟で、まさに風に舞うようなしなやかな風合いを失われずに再現することができました。

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