サステナビリティ

人権への取り組み

 京セラグループでは、各国の法令遵守はもとより、国連の「世界人権宣言」や国際労働機関(ILO)の「基本的人権規約」などの国際基準に則った取り組みを実施しており、人権・労働・環境・腐敗防止についての10原則を定めた国連グローバル・コンパクトの主旨に賛同し参加しています。また、「京セラグループ人権方針」を制定し、強制労働や児童労働、性別・年齢・思想信条・国籍・身体的特徴などによる差別的行為を禁止しているほか、職場内におけるパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントの防止に努めています。さらに労働組合や職場会などを通じて従業員との意見交換や情報の共有化をはかり、働きがいのある魅力的な職場環境づくりを推進しています。

人権方針


京セラグループ人権方針


周知浸透・教育

 京セラグループは本方針の内容は、社内方針や手続きに反映させ、その実現に取り組みます。また、従業員への人権教育を通じて、ビジネスパートナーへは「ガイドライン」を定め遵守いただく事で本方針の理解浸透に取り組みます。

 

モニタリングと情報開示

 京セラグループは、国際的に認められた人権が時代や社会環境により変化することを理解し、継続的な人権デューディリジェンスを実施します。また、是正や軽減、防止への対応をモニタリングするとともに、人権尊重のための取り組みの実効性を評価します。その取り組みの進捗は適時適切に開示します。情報開示にあたっては、影響を受けたライツホルダーが不利益を被らないように留意します。


作成:2020年11月2日
改定:2024年8月1日

京セラ株式会社 代表取締役社長
谷本 秀夫

 

(別紙)推進体制

1. 人権デューディリジェンスの体制

 京セラグループは、人権に関するリスクをコーポレートリスクとして位置付けており、人権デューディリジェンスの結果は、京セラ株式会社代表取締役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会において承認されます。人権を含むリスクマネジメント委員会で議論された内容は、取締役会に適宜報告され、監督を受けています。人権デューディリジェンスは京セラ株式会社総務人事本部が事務局となり、サプライチェーン管理を含む関係部門と協働し、社内外の専門的助言を取り入れながら実施します。人権デューディリジェンスの実効性は、人権への影響を受けるライツホルダーからの意見をアンケートやインタビューなどで取り入れたうえで評価します。人権への負の影響の防止や軽減措置、または是正措置については、関係する部門が責任をもって実行し、その進捗をモニタリングします。

 

2. 救済プロセス

 京セラグループは、社内外のステークホルダーが不利益を恐れず人権についての懸念を通報できる複数の通報窓口を設置し、公表することで、救済へのアクセスを提供しています。通報窓口には、「コンプライアンスホットライン」など京セラグループ内の専任組織が受け付ける窓口のほか、外部の専門組織が受け付ける窓口もあります。いずれも匿名で利用でき、また通報者のプライバシー保護に留意し、通報者や協力者が不利益な扱いを受けることがないように努めています。
 受け付けた通報は、京セラ株式会社総務人事本部をはじめ関係する部門が連携して調査し、是正措置を検討します。是正措置が必要だと判断された事案は、当事者や有識者と対話を通じて適切な是正措置を講じるとともに、教訓として再発防止に取り組みます。通報事案に応じて所管部署にて是正措置の決定・執行を行っており、人権に関する是正措置の実行に対しては総務人事本部長が責任を担います。

 

(別紙)京セラグループが対処すべき人権課題(顕著な人権課題)への対応方針

 京セラグループは、バリューチェーンで顕在化した人権への負の影響(以下、「顕在化した人権課題」)や、潜在的な人権への負の影響(以下、「潜在的な人権課題」)について、外部機関の協力のもと所在国や業種によりライツホルダー(「従業員(単体)」、「従業員(国内グループ)」、「従業員(海外グループ)」、「サプライヤー」、「派遣社員」、「請負」、「地域住民」、「消費者」)ごとに評価し、社内記録の確認、関係部門および影響を受けるライツホルダーとして労働組合へのインタビュー、社外の有識者からの助言を得て分析した、影響の深刻度や発生可能性の大きさから「京セラグループが対処すべき人権課題(顕著な人権課題)」として、以下の13課題を特定しました。
 京セラグループが人権への負の影響が引き起こすまたは助長していると判明した場合は速やかに是正し、潜在的な人権課題に対しても防止・軽減措置を図ってまいります。国連「ビジネスと人権に関する指導原則」などに則った人権尊重の取り組みを進めるため、顕著な人権課題についての影響を評価し、予防的措置を含めて適切に対処することが重要だと考えています。特に、顕在化した場合に深刻な影響を与えることが懸念される高リスク地域を中心に、各バリューチェーンにおけるライツホルダーごとの人権影響の実態調査を進めてまいります。なお、「労働者」には、京セラグループの従業員に加えて、ビジネスパートナー(資材サプライヤー、人材派遣会社、構内請負会社など)の社員も含みます。
 特定した13の人権課題について、負の影響の最小化に努めるための対応方針を定めました。京セラグループの製品・サービスに関係するサプライヤーを含むすべてのビジネスパートナーに対しても、本対応方針の理解・遵守を求めます。なお、本対応方針に賛同が得られないビジネスパートナーとの取引については、「人権侵害の深刻度」と「取引関係を再考した場合の人権への負の影響」を考慮した上で、適切に対応します。
 対処すべき人権課題および対応方針については、定期的な人権デューディリジェンスと、見直しを行います。

 

13課題への対応方針

1. 強制労働

  • 労働者が自らの雇用契約の内容を正しく理解できるよう、労働者が理解できる言語により作成された雇用契約書を労働者に提供する。
  • 採用に要した手数料、またはその他の手数料を労働者に請求することを禁じている。そのような手数料を労働者が支払ったことが判明した場合は、当該手数料を労働者に返金する。
  • 社員のパスポートや政府発行の本人確認資料などの原本や、その他の貴重品などを会社は保持しない。
  • すべての労働は自発的で、契約通りに通知を行った場合、労働者は違約金や罰を受けることなく仕事を休んだり、雇用関係を終了したりすることができる。

2. 児童労働・若年労働

  • いかなる製造段階においても児童※1を業務に従事させない。※1  児童:「15歳」または、「義務教育を修了する年齢」または「国の雇用最低年齢」のうち、いずれか最も高い年齢に満たない者
  • 18歳未満の労働者(若年労働者)を夜勤や時間外労働を含む、危険な作業など※2の身体に負荷のかかる業務に従事させない。

   ※2  危険な作業の例:高所作業、重量物や有害な材料を扱う作業など

3. 労働安全衛生

  • 労働者が業務に関連して、死亡や深刻な疾病/負傷を被っていない。
  • 業務上の安全や産業衛生(健康を含む)に関するリスクアセスメントを実施する。
  • 労働者に対して適切な保護具を提供する。

4. 社会保障を受ける権利

  • 対象となるすべての労働者に対して、法令で義務づけられている社会保険に加入させる。

5. 適正な賃金

  • 労働者に対して適正な生活水準の維持に必要な賃金(生活賃金)を支払う。
  • 賃金は定期的かつ期日通りに満額を労働者に対して支払う。
  • 時間外労働については、労働者に法定以上の適正な割増賃金を支払う。
  • 業務に関連がある物品の購入費用を労働者に負担させない。

6. 適正な労働時間

  • 労働時間は現地法で定められている限度を超えない。
  • 週の労働時間は緊急時や非常時を除き、時間外労働を含めて60時間を超えない。
  • 7日間に1日以上の休日を与える。
  • すべての時間外労働は同意のもとで行われる。

7. 職場における差別

  • 採用時、雇用後の給与、研修、昇進、解雇などの処遇を決める際の基準や要件の中に、「人種、肌の色、年齢、性別、民族、宗教、所属政党、配偶者の有無、妊娠、性的指向、性同一性と性表現、軍役経験の有無、保護された遺伝情報、病歴・身体障害の有無、所属組合に関する情報、妊娠検査や処女検査の結果」を含めない。

8. 結社の自由・団体交渉権

  • 現地法に従い、労働者の意志により結社の自由・団体交渉の権利を尊重する。法的に結社の自由・団体交渉の権利が制限されている状況や場所においても、適法な代替手段を確立し労働者の権利が尊重される方法を追求する。

9. 外国人労働者の権利

  • 仕事に従事するため移住した外国人労働者に対して、外国人労働者が移住元を離れる前に雇用契約書を渡している。
  • 外国人労働者に提供する重要な書類※3は、理解できる言語で提供している。

         ※3  重要な書類:募集要項、雇用契約書、給与明細、就業規則・規程、安全衛生に関するマニュアル、社内/社外の   
    相談窓口など

10. 社会的な差別・プライバシー侵害

  • AIやIoTの活用によるプライバシーの侵害に助長・加担しない。

11. ハラスメント

  • ハラスメントに関する相談に対して、事実確認調査を実施し、必要に応じて被害者への配慮措置、加害者への処分などを含む適切な対応を行う。

12. 地域コミュニティへの影響(環境・社会)

  • 工場での騒音、悪臭、振動などによる悪影響を地域コミュニティに与えない。
  • 化学物質などの流出による河川、地下水、土壌などの汚染で地域コミュニティに悪影響を与えない。

13. 製品の安全性

  • 製品の使用者に対して、製品設計の不良や使用方法の誤りなどによる悪影響を与えない。


以上

人権マネジメント体制


 京セラグループでは、「リスクマネジメント委員会」を定期的に開催し、リスクマネジメント方針、コーポレートリスクならびにリスクオーナーの決定を行うとともに、対応策の進捗状況のレビューを実施しています。人権に関するリスクは、コーポレートリスクとして選定し、リスクマネジメント委員会で議論を行っています。

人権労働に関する取り組み


 当社では、従業員の人権・労働に関する意識の向上を目的に、毎年5月を「モラル月間」と定め、職場で順守すべき事項の朝礼発表を実施しています。さらに、「人権の尊重」「法の順守」「環境・社会への貢献」「職場での心構え」に関する取り組み姿勢をまとめた「京セラ行動指針」を社内Webで全社員に公開し、内容を周知しています。加えて、労働関連法令、社内規程、組合との労働協約にもとづき、差別行為などの法令違反がないか、賃金の支払いや労働時間などが適切に管理されているかなど、人事部門で自主チェックを行うとともに、監査部門による監査を定期的に実施し、順守の徹底をはかっています。また、労働分野に関する具体的な内容を、「労働関連行動規範」として定めています。

京セラドキュメントソリューションズ株式会社 労働関連行動規範


  1. 1. 目的
  2.  京セラでは、創業当初より、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」を経営理念に掲げ、「京セラフィロソフィ」をベースに経営を行っており、京セラグループの経営の根幹となっています。「京セラフィロソフィ」の日々の実践により、ステークホルダーとの相互信頼の構築、京セラグループの持続的な発展をはかるとともに、社会の健全な発展に貢献していきます。
     そこで、企業行動の規範となるべき「京セラグループCSR指針」が定められ、持続可能な社会の創造へ向けて行動していくこととしており、労働分野について、より具体的な内容を「京セラドキュメントソリューションズ株式会社 労働関連行動規範」として定めるものです。

  3. 2. 適用範囲
  4.  この行動規範は、京セラドキュメントソリューションズ株式会社、京セラドキュメントソリューションズジャパン株式会社(以下、京セラドキュメントソリューションズ株式会社に含む)ならびに、すべての役員と従業員に適用します。

  5. 3. 労働関連行動規範
    1. (1) 雇用の自由選択
    2.  強制、拘束(債務による拘束を含む)または拘留労働、非自発的または搾取的囚人労働、奴隷または人身売買による労働力を用いてはなりません。これには、労働またはサービスのために脅迫、強制、強要、拉致、または詐欺によって人を移送、隠匿、採用、移動、または受け入れることも含まれます。会社が提供した施設への出入りに不合理な制約を与えたり、施設における労働者の移動の自由に不合理な制約を科したりしてはなりません。雇用プロセスの一環として、労働者が母国を離れる前に、雇用条件の記述を含む母国語での書面による雇用契約書を提供する必要があります。また、現地の適用法を満たし、同等以上の条件を提供するような変更が行われない限り、受け入れ国に到着した時点で雇用契約への代替または変更は許可されないものとします。すべての作業は自発的でなくてはならず、労働者は随時職場を離れる、または雇用を終了する自由があります。雇用者およびエージェントは、政府発行の身分証明書、パスポート、または労働許可書(これらの保持が法律で義務付けている場合を除く)など、従業員の身分証明書または移民申請書を保持したり、またはその他破壊、隠匿、没収したり、もしくは従業員による使用を阻止してはなりません。労働者は、雇用者または代理人の就職斡旋手数料または雇用に関わるその他手数料を支払う必要はないものとします。労働者がこうした手数料を支払ったことが判明した場合は、その手数料は当該労働者に返金されるものとします。

    3. (2) 若年労働者
    4.  児童労働は、いかなる製造段階においても使用してはなりません。ここでいう「児童」とは、15歳、または義務教育を修了する年齢、または国の雇用最低年齢のうち、いずれか最も高い年齢に満たない者を指します。合法的な職場学習プログラムの使用は、すべての法規制が順守されている限り、支援されます。18歳未満の労働者(若年労働者)を夜勤や残業を含む、健康や安全が危険にさらされる可能性がある業務に従事させてはなりません。京セラドキュメントソリューションズ株式会社は、適用される法規制に従った、学生労働者の記録の適切な維持、教育パートナーの厳格なデュー・ディリジェンス、および学生労働者の権利の保護により、学生労働者の適切な管理を確保するものとします。京セラドキュメントソリューションズ株式会社は、適切なサポートとトレーニングをすべての学生労働者に提供するものとします。現地の適用法がない場合、学生労働者、インターン、および見習いの賃金率は、同様または類似の労働を行っている他の新人労働者と少なくとも同じ賃金率でなくてはなりません。強制、拘束(債務による拘束を含む)または拘留労働、非自発的または搾取的囚人労働、奴隷または人身売買による労働力を用いてはなりません。

    5. (3) 労働時間
    6.  ビジネス慣行の数々の研究によると、労働者の過労は、生産性の低下、離職の増加、怪我および疾病の増加と明確なつながりがあることがわかっています。労働時間は、現地の適用法で定められている限度を超えてはなりません。

    7. (4) 賃金および福利厚生
    8.  労働者に支払われる報酬は、最低賃金、残業、および法的に義務付けられている福利厚生に関連する法律を含め、すべての適用される賃金に関する法律に準拠していなければなりません。現地の適用法を順守して、残業に関して通常の時給より高い賃率で労働者に支払われなければなりません。懲戒処分としての賃金からの控除は、認められないものとします。各支払期間に、労働者へ、実施した業務に対する正確な報酬を確認するための十分な情報を含む、理解可能な給与明細書を適切な時期に提供するものとします。臨時、派遣、および外部委託の労働者の使用はすべて、現地法の制限を受けます。

    9. (5) 人道的待遇
    10.  労働者に対するセクシャルハラスメント、性的虐待、体罰、精神的もしくは肉体的な抑圧、または言葉による虐待などの不快で、非人道的な待遇があってはならず、またかかる待遇の恐れがあってはなりません。これらの要件に対応した懲戒方針および手続きが明確に定義され、労働者に伝えられなければなりません。

    11. (6) 差別の排除
    12.  京セラドキュメントソリューションズ株式会社は、ハラスメントおよび非合法な差別のない職場づくりに尽力する必要があります。京セラドキュメントソリューションズ株式会社は、賃金、昇進、報酬、およびトレーニングの利用などの雇用実務において、人種、肌の色、年齢、性別、性的指向、性同一性と性表現、民族または国籍、障がいの有無、妊娠、宗教、所属政党、組合員であるかどうか、軍役経験の有無、保護された遺伝情報、または結婚歴に基づく差別を行ってはなりません。労働者が宗教上の慣習を行えるよう、適度な範囲で便宜を図るものとします。なお、宗教上の慣習に関する労働者からの要望は、総務・労務部門で受け付け、対応について検討の上、実施することとします。さらに、労働者または雇用見込みの労働者に、差別的に使用される可能性がある医療検査または身体検査を受けさせてはなりません。

    13. (7) 結社の自由
    14.  現地法に従い、京セラドキュメントソリューションズ株式会社は、団体交渉を行い、また平和的集会に参加するために、労働組合に加入するすべての労働者の権利を尊重するものとします。労働者および/または彼らの代表者は、差別、報復、脅迫、またはハラスメントを恐れることなく、労働条件および経営慣行に関する意見および懸念について、経営陣と率直に意思疎通を図り、共有できるものとします。

人権デュー・ディリジェンスプロセス


 京セラグループでは、人権リスク低減に向けた取り組みを進めるため、2025年度までにグループ全体での人権デュー・ディリジェンスの実施体制の構築を目指していきます。また、従業員へ向けた取り組みも充実させ、人権リスク防止および軽減を図っていきます。

顕著な人権課題の調査


 京セラグループ人権方針において、「人権デュー・ディリジェンスの実施」を宣言しています。人権方針を順守するため、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を用いて、人権デュー・ディリジェンスの枠組みを構築し、運用しています。京セラでは、2022年にはサステナビリティに関する外部専門機関とともに、人権デュー・ディリジェンスを推進するためのワーキンググループを立ち上げ、人権に対する負の影響を特定し、取り組むべき人権課題の優先順位付けを行いました。

   1. 調査対象地域

  1.  京セラグループおよび京セラグループサプライヤーの所在する地域

    2. 調査対象範囲

     京セラグループのバリューチェーンおよびライツホルダーを以下の通り定義しそれぞれ人権課題を調査しました。


    【バリューチェーン】

     「資源採掘」、「原材料調達・輸送」、「R&D・製造」、「施工・製品使用・サービス」、「製品廃棄」

    【ライツホルダー】

     「従業員(単体)」、「従業員(国内グループ)」、「従業員(海外グループ)」、「サプライヤー」、「派遣社員」、「請負」、「地域住民」、「消費者」

    3. 人権課題特定のためのステップ

    【ステップ1】カントリーリスク調査

     調査対象国の人権リスクの大きさを、①人権侵害の状況(深刻度)、②法執行の担保状況(発生可能性)、③人権関連条約批准状況・国内法整備状況(発生可能性)、④人権侵害の発生頻度・傾向(発生可能性)にて文献および記事検索により評価を実施。

    【ステップ2】インダストリーリスク調査

     京セラグループの会社(生産および非生産)が属する業種を特定し、業種ごとに「発生頻度」および「発生傾向」を考慮して、各調査対象業種の発生可能性が高い人権課題を特定。

    【ステップ3】京セラグループにおける人権課題の調査

     外部専門機関による、京セラの社内記録の確認および関連部門へのインタビューおよび過去20年間にわたり京セラグループに関する人権関連の記事検索により、京セラグループの人権課題の有無および管理状況の調査を実施。

    【ステップ4】人権課題の優先順位付け

     ステップ1~3で特定された人権課題を「人権課題リスト」に追加し、ステップ3のインタビューの結果から「深刻度」と「発生可能性」についてスコアリングを実施。スコアリングされた「人権課題リスト」をもとにワーキンググループ内で追加すべき人権課題やライツホルダーが無いか、除外すべき(管理出来ている)人権課題は無いかという観点で協議し(3回実施)、京セラグループの人権課題を特定。

    4. 実施結果

     調査の結果より顕著な人権課題の発生可能性について検討を行い、15の国と地域を高リスク地域と特定し、13項目を顕著な人権課題として特定しました。

特定された顕著な人権課題


  1. (1) 強制労働
  2. (2) 児童労働・若年者労働
  3. (3) 労働安全衛生
  4. (4) 社会保障を受ける権利
  5. (5) 適正な賃金
  6. (6) 適正な労働時間
  7. (7) 職場における差別
  8. (8) 結社の自由・団体交渉権
  9. (9) 国内移住労働者・外国人労働者の権利
  10. (10) 社会的な差別・プライバシーの権利
  11. (11) ハラスメント
  12. (12) 地域コミュニティへの影響(環境・社会)
  13. (13) 製品の安全性

人権リスクの軽減と救済


人権課題対策


 特定された顕著な人権課題については、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に従い、全て顕在化の可否を特定し、顕在化していることが判明した場合には速やかに救済・是正措置の対応を図ります。また、潜在的な人権課題に対しても軽減・防止措置を図ってまいります。そのために、まずは特定された顕著な人権課題に対する評価を実施し、人権課題の実態確認を行うことで、顕在化の有無や潜在的な人権課題の顕在化の予防、防止を図っていくことが必要だと考えています。特に、顕在化した場合に深刻性が高くなると考えられる高リスク地域を中心に、各バリューチェーンにおけるライツホルダーごとに実態確認の実施を計画しています。

強制労働の禁止


 京セラグループでは、「京セラグループ人権方針」の中で、奴隷や人身売買を含めたすべての強制労働、児童労働を禁止しています。

ハラスメント・差別などの人権侵害の防止


 当社では、毎年5月を「モラル月間」とし、全社に順守すべき事項の共有を図っています。加えて、全社員を対象にハラスメント防止教育を実施し、ハラスメントや差別が起こらない職場環境づくりに努めています。万一、ハラスメントや差別などの人権侵害が発生した場合に備え、匿名でも利用可能な社員相談窓口に加え、京セラグループとして2021年度より第三者相談窓口を設置し、プライバシーに配慮した形で、しかるべき対応をとる体制を整えています。

結社の自由


 当社では、従業員同士の信頼関係や心の結びつきを大切にしてきました。会社と従業員の関係においても、一般的に言われる労使協調という考えを超え、考え方の軸を同じとする「労使同軸」を基本としています。こうした関係を維持・醸成していくためにも、運動会や夏祭りをはじめ、各種行事で一体となった取り組みを行っています。また、欧州、米国、中国など海外においても、各国の労働法に従い、十分な労使協議による適切な労使関係を継続しており、また、今後も会社の持続的な発展に向けて、労使同軸を基調とした労使関係を継続し、職場の問題解決に取り組んでいきます。