労働衛生・健康づくりの取り組み
京セラグループでは、すべての従業員が健康への意識を高め、心身の健康を維持できるよう、さまざまな取り組みを展開しています。
総合的な健康増進活動(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)の取り組み
京セラグループでは、従業員の心身の健康を維持・増進し、従業員に健康で良かったと感じてもらうこと、会社としての生産性を向上させ活気ある集団にすることを目的に、社長を最高責任者とし、総務人事担当部門が中心となり、総合的な健康増進活動(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)を展開しています。「京セラグループ健康経営宣言」のもと、食事対策・運動対策・禁煙対策・メンタルヘルス対策などの健康増進活動を継続的に実施し社員一人ひとりがいきいきと働くことができる健康経営優良企業を目指します。
京セラグループ健康経営宣言
京セラグループでは、創業当初より、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」を経営理念に掲げ、経営を行って参りました。
この経営理念を実現するためには、従業員の心身の健康が、必要不可欠であることから、京セラグループとして、総合的な健康増進活動(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)に取り組み、「健康経営」を実践して参ります。
そして、全ての従業員が、健康に働くことができる喜びを感じるとともに、一人ひとりが、持てる力を最大限に発揮し、明るく、活力溢れる集団であり続けることを目指します。
2018年7月3日
京セラ株式会社 代表取締役社長
谷本 秀夫
体制図
●健康推進活動体制
当社は、社長を健康経営最高責任者とし、以下の体制で健康推進への取り組みを行っています。
戦略マップ
健康経営の推進方針を、『会社の経営理念である「全従業員の物心両面の幸福」と会社方針の「活き活きと活躍できる職場づくり」を達成するため、社員一人ひとりが安心して業務を遂行できる風通しの良い職場づくりを目指す。』とし、社員の健康課題に対し、様々な取り組みを行っています。
当社では年間1,950万円の健康投資を行っています。
法定外福利費のうち医療・健康関連費用(健康診断等)1,900万円、健康経営教育費用50万円。
主な投資項目:健康診断、メンタルヘルス支援、運動・食事施策、睡眠改善、禁煙支援など。
健康保持・増進に対する具体的な取り組み
2025年に開催した健康増進セミナー
当社の健康課題である「若年層の肥満」「脂質異常」「血糖値のリスク」への対策として、本社に専門講師を招き、全国の事業所とオンラインでつなぎ、食事と運動セミナーを開催しました(対象者186名、当日参加率43.0%、満足度73.1%)。当日、参加できなかった社員には、後日、動画を配信。さらに、対象者の中から先着30名に対し、楽しく・健康的に減量を目指す多彩なプログラム「カラダ革命」を、週1回のペースで90日間実施。適宜、効果測定を行い、健康課題の改善に向けて取り組んでいます。


●2027年度目標
対象範囲 | 単位 | 2027年度目標 | |
---|---|---|---|
適正体重維持者割合 ※1 合計 | 国内拠点 ※2 | % | 75.0 |
肥満者割合 ※3 合計 | 22.0 | ||
肥満者割合 男性 | 24.0 | ||
肥満者割合 女性 | 13.0 | ||
若年肥満者割合 ※4 合計 | 17.0 | ||
若年肥満者割合 男性 | 18.0 | ||
若年肥満者割合 女性 | 9.0 | ||
睡眠充足率 ※5 合計 | 75.0 | ||
睡眠充足率 男性 | 75.0 | ||
睡眠充足率 女性 | 67.0 | ||
リスク飲酒者割合(2023年度以降) ※6 合計 | 8.0 | ||
リスク飲酒者割合(2023年度以降) 男性 | 7.0 | ||
リスク飲酒者割合(2023年度以降) 女性 | 9.5 | ||
運動習慣者割合 ※7 合計 | 40.0 | ||
血圧リスク者割合 ※8 合計 | 0.0 | ||
ハイリスク者の管理(血圧治療継続)率 ※9 合計 | 100.0 | ||
血糖リスク者割合 ※10 合計 | 0.0 | ||
糖尿病管理不良者率 ※11 合計 | 0.0 | ||
脂質リスク者割合 ※12 合計 | 3.0 |
※1 BMIが18.5~25未満の社員の割合
※2 国内拠点:京セラドキュメントソリューションズ本社・枚方工場・玉城工場・みなとみらいリサーチセンター
※3 BMIが25以上の社員の割合
※4 40歳未満で、BMIが25以上の社員の割合
※5 睡眠で休養が十分とれている「1.十分とれている」と回答した社員の割合
※6 2023年度に、問診票の設問がより具体的な内容に変更となり、結果として、大幅に数値が改善した。
※7 30分・週2回以上の運動を1ヶ月以上継続している社員の割合
※8 収縮時血圧180[㎜Hg]以上 / 拡張期血圧110[㎜Hg]以上
※9 問診票で高血圧治療中と回答した人と高血圧(収縮時血圧160[㎜Hg]以上 / 拡張期血圧100[㎜Hg]以上)だが未治療の人を足して、高血圧治療中の人で除した。
※10 空腹時血糖が200[mg/dl]以上の人の割合
※11 HbA1cが8.0[%]以上の人の割合
※12 脂質で「要受診・精検」と判定された社員の割合
食生活の改善に向けた取り組み
社員の健康をサポートするため、当社では以下のような食生活改善の取り組みを実施しています。
カフェテリア方式の導入および健康定食の提供
社員食堂では、すべてのメニューにカロリーや塩分量を表示し、社員が自分の健康状態や好みに合わせて自由に選べるカフェテリア方式を採用しています。また、毎日、「健康定食」(例:カロリー650kcal以下・野菜120g以上を含む)を提供し、おすすめメニューとして、紹介・推奨することで、社員の健康意識向上を図っています。




カフェの新設による朝食支援
本社では2021年に社員用カフェを新設し、手作りサンドイッチや焼きたてパンを提供しています。これにより、朝食をとらない社員の食習慣改善にもつながっています。
健康志向の商品ラインナップ
社内売店では、低カロリーのスナックや、食物繊維・たんぱく質が豊富な補助食品、糖質オフの飲料など、健康に配慮した商品を取り揃えています。
運動機会の増進に向けた取り組み
社員の健康維持と運動習慣の定着を目的に、さまざまな取り組みを実施しています。
スポーツ大会の開催
2000年から毎年4月にスポーツ大会を開催し、社員が楽しみながら体を動かす機会を提供しています。
健康保険組合との連携イベント
健康保険組合と協力し、毎年、「歩こうイベント」や「体重測定イベント」を実施。目標の達成度に応じてインセンティブ(報奨)を用意し、社員の参加意欲を高めています。さらに、2024年には派遣社員や提携業者の社員にも対象を広げ、「ロコモティブシンドローム予防イベント」を実施しました。このイベントでは、参加者の歩き方を測定・評価し、専門家による個別指導を行うことで、運動機能の維持・改善を支援しました。
健康増進月間の体力測定イベント
9月の健康増進月間には、全社員を対象に昼休みの時間を活用して体力測定イベントを実施。自身の健康状態や運動習慣に関心を持つきっかけを提供しています。
女性特有の健康課題への取り組み
女性社員の健康を支援するため、以下のような取り組みを実施しています。
婦人科検診の重要性に関する啓発活動
乳がんや子宮頸がんなど、女性特有の疾患に関するセミナーやe-learningを実施し、検診の重要性やリスクについて周知を図っています。これにより、乳がん・子宮頸がん検診の受診率向上を目指しています。また、定期健康診断と同時受検や、会社敷地内に検診車を手配、健康保険組合の費用補助など、社員が検診を受けやすい環境を提供しています。


●2027年度目標
対象範囲 | 単位 | 2027年度目標 | |
---|---|---|---|
乳がん検診受診率 女性 | 国内拠点 ※ | % | 80.0 |
子宮頸がん検診受診率(HPV検査含む) 女性 | 70.0 |
※ 国内拠点:京セラドキュメントソリューションズ本社・枚方工場・玉城工場・みなとみらいリサーチセンター
社内医療職への相談窓口の設置
婦人科検診の結果に関する不安や疑問に対応するため、社内に相談窓口を設け、安心して相談できる環境を整えています。
不妊治療に関する支援制度
不妊治療を受ける社員が安心して治療に専念できるよう、休職制度を整備しています。
長時間労働者への対応に関する取り組み
社員の健康を守るため、長時間労働への対策を積極的に実施しています。
勤怠管理と健康チェックの徹底
就労管理システムを導入し、社員の労働時間を正確に把握しています。
当社では労働安全衛生法よりも厳しい基準を設けており、基準を超えた社員には健康状態を確認する問診票を配布。産業医がリスクの高い社員を選定し、必要に応じて面談指導を実施しています。さらに、人事労務部門と連携し、社員の健康維持に努めています。
柔軟な働き方の推進
働き方改革の一環として、以下の制度を導入しています。
- 時間単位での有給休暇取得制度
- 在宅勤務時の中抜け制度
- フレックスタイム制の導入
これらの取り組みにより、全社員がより健康的で柔軟に働ける職場環境づくりを目指しています。
メンタルヘルスに関する取り組み
社員の心の健康を守るため、予防から支援まで幅広い取り組みを実施しています。
予防対策と教育の実施
全社員を対象にセルフケア教育(2025年受講率88%)を、管理職にはラインケア、パワーハラスメント防止、ダイバーシティに関する教育を実施することで、職場全体でメンタルヘルスへの理解を深めています。
新入社員へのサポート
新入社員には、入社1か月後を目安に抑うつ傾向を測定する問診票を配布し、保健師による面談を実施。早期にメンタル不調を発見し、新しい環境への適応を支援しています。
相談しやすい環境づくり
社内の健康推進課ポータルサイトに健康相談窓口を設置し、社員が気軽に産業医や保健師に体調やメンタル面の相談ができる体制を整えています。

復職支援と再発防止
メンタル不調による休職者には、復職支援プログラムに基づき、本人・人事・産業医・保健師・復帰先の職場、必要時は外部のリワーク(職場復帰支援)施設とも連携して対応。復職後も産業医による定期的な面談を実施するなど、スムーズな復職と再発防止に取り組んでいます。
ストレスチェックの実施と対応
全事業所で毎年ストレスチェックを実施し、受検率は95%以上を維持。
高ストレス者には産業医の面接や保健師による個別相談を実施し、必要な支援を提供しています。
また、高ストレスと判定された職場には分析結果をフィードバックし、管理職と連携して職場環境の改善を進めています。今後は全職場へのフィードバックも予定しています。
●2027年度目標
対象範囲 | 単位 | 2027年度目標 | |
---|---|---|---|
ストレスチェック受検率 | 国内拠点 ※ | % | 100.0 |
高ストレス率 | 7.0 | ||
健康組織リスク | 点 | 85.0 |
※ 国内拠点:京セラドキュメントソリューションズ本社・枚方工場・玉城工場・みなとみらいリサーチセンター
感染症予防に関する取り組み
社員とその家族の健康を守るため、感染症予防に関して以下の取り組みを実施しています。
インフルエンザ予防接種の実施
2015年より毎年、社内でインフルエンザワクチンの接種を実施しています。希望者には業務時間内に接種できるよう配慮し、接種しやすい環境を整えています。また、社員だけでなく、事業所内で働く提携企業のスタッフにも接種の機会を提供し、職場全体での感染拡大防止に努めています。
費用面では、健康保険組合による一部補助も行っており、社員の経済的負担軽減にも努めています。
海外出向者への感染症対策
海外に出向する社員および帯同する家族に対しては、厚生労働省検疫所や外務省の海外安全ホームページの情報をもとに、渡航先の国や地域に応じた各種予防接種を会社負担で実施しています(希望者対象)。
その他
50歳以上の社員に対し、健康保険組合による帯状疱疹ワクチンの接種費用の補助を実施しています。
禁煙支援に関する取り組み
社員の健康促進を目的に、当社では禁煙支援に力を入れています。
長期目標の設定と推進活動
2014年から、「今後10年間で喫煙率を半減する」という目標を掲げ、禁煙推進活動を積極的に展開してきました。
具体的な取り組み内容
以下のような多角的な支援を実施しています。
- 「スワンスワンの日」の設定(禁煙啓発日)
- 肺年齢測定イベントの開催
- 禁煙チャレンジイベントの実施
- 健康保険組合による禁煙外来費用の全額補助制度
- 保健師による禁煙教室の開催
- 喫煙者の行動変容ステージに応じた保健師による個別指導の実施
これらの取り組みにより、社員の喫煙率は着実に低下し、2022年4月1日には全事業所で敷地内禁煙を実現しました。
成果と今後の目標
喫煙率は2014年の22.4%から、2024年には14.7%まで減少し、7.7ポイントの改善が見られました。喫煙率10%以下を目指し、引き続き禁煙推進活動を継続していきます。
●2027年度目標
対象範囲 | 単位 | 2027年度目標 | |
---|---|---|---|
喫煙率 合計 | 国内拠点 ※ | % | 10.0 |
喫煙率 男性 | 13.0 | ||
喫煙率 女性 | 0.0 |
※ 国内拠点:京セラドキュメントソリューションズ本社・枚方工場・玉城工場・みなとみらいリサーチセンター
ヘルスリテラシーの向上への取り組み
社員の健康意識を高めるために、健康セミナーやe-learning、運動機会の提供、体力測定イベントなどを実施しています。これらの活動を通じて、社員が健康について正しい知識を持ち、自らの健康管理に積極的に取り組めるように支援しています。また、こうした取り組みにより、組織全体で健康を重視する文化の定着を図っています。
ヘルスリテラシーの測定には、健康経営の施策が社員にどれだけ浸透しているかをアンケートで確認する方法を用いています。
●社員のヘルスリテラシー
単位 | 2025年度 | 2027年度目標 | |
---|---|---|---|
ヘルスリテラシー ※ | % | 67.4 | 100.0 |
回答率 96.5%(対象者 3,454名) ストレスチェックと併せて実施
※ 「京セラドキュメントソリューションズグループが健康経営に取り組んでいることについて、ご存じですか」に対し、「はい」と回答した者の割合。
健康経営の最終的な評価指標
当社では、社員一人ひとりが心身ともに健康で、安心して働ける環境づくりに取り組んでいます。
健康診断やストレスチェックの結果をもとに、社内の健康課題を分析し、明確な目標を設定したうえで、改善活動を進めています。これらの取り組みの成果を測るために、経済産業省の健康投資管理会計ガイドラインに基づき、2025年より、アブセンティーイズム・プレゼンティーイズム・ワークエンゲージメントを主要指標として導入しました。
2027年の目標値は、健康経営銘柄取得企業の実績値をベンチマークとし、当社の現状値とのギャップを分析した上で設定しています。これらの指標を活用しながら、社員の健康と働きがいの向上を目指し、持続可能な職場環境の実現に努めています。
●2027年度目標
対象範囲 | 単位 | 2027年度目標 | |
---|---|---|---|
健康診断受診率 合計 | 国内拠点 ※ | % | 100.0 |
精密検査受診率 合計 | 100.0 | ||
特定保健指導実施率 合計 (被扶養者を含まない・被保険者のみ) |
75.0 |
※ 国内拠点:京セラドキュメントソリューションズ本社・枚方工場・玉城工場・みなとみらいリサーチセンター
●健康経営の評価指標
単位 | 2025年度 | 2027年度目標 | |
---|---|---|---|
プレゼンティーイズム ※1 | % | 16.5 | 10.0未満 |
アブセンティーイズム ※2 | 日 | 4.1 | 2.2 |
ワークエンゲージメント ※3 | - | 3.5 | 4.5 |
回答率 96.5%(対象者 3,454名) ストレスチェックと併せて実施
※1 プレゼンティーイズム: SPQ(Single-Item Presenteeism 東大1項目版)尺度/全社員を対象としたアンケートより算出(0~100%)。
※2 アブセンティーイズム: 全社員を対象に、前年度に自らの病気やけがで会社を休んだ日数をアンケートより算出。
※3 ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度の超短縮版にて測定。
外部からの評価・表彰
当社の健康経営に関する取り組みは、外部からも高く評価されています。
健康経営優良法人の認定

当社は、2018年に「健康経営優良法人(大規模法人部門・ホワイト500)」に初めて選定されて以来、「健康経営優良法人」を継続して認定を受けています。
各拠点での受賞・認定実績
各事業所においても、地域ごとの健康経営に関する表彰や認定を受けています。
- 本社事業所:
第1回「大阪府健康づくりアワード」にて、健康おおさか21推進府民会議会長賞(優秀賞)を受賞 - 枚方工場:
ひらかた健康優良企業に認定 - 玉城工場:
三重とこわか健康経営大賞2025受賞 - みなとみらい事業所:
横浜健康経営においてAA評価を取得