製品開発―製品の環境配慮

省エネ設計

 当社製品である、複合機・プリンターおよび商業用インクジェットプロダクションプリンターの、稼働中の消費電力は、FAXの待ち受けやLANへの接続のために常時消費する待機時電力と、印刷動作時にトナー/インクを紙に画像として定着させる際に消費する電力が消費電力の大半を占めています。当社は、これらの電力消費を極限まで削減するため、さまざまな新技術を開発して製品に搭載しています。

新トナーの開発

 独自製法により、シャープメルトコアの表面を薄膜シェルで覆った新トナーを開発しました。この新トナーは、従来のものよりも30℃以上低い温度での定着が可能となり、その結果として、複合機・プリンターのTEC値※1を半減することができました。

※1 複合機・プリンターを、午前4時間(15分x16回)と午後4時間(15分x16回)の2回稼働させた場合の①スリープ時の電力+②プリント時の電力+③レディ時の電力を1日とし、1週間(5営業日+週末)トータルした積算電力量(単位はkWh/週)
(※ 回数は印刷速度によって変化します。)

●新トナーのイメージ図

新トナーのイメージ図

●従来トナーと新トナーとの、温度に対する粘度の変化および定着可能範囲の比較

従来のトナーと新カラートナーとの、温度に対する粘度の変化および定着可能範囲の比較

低消費電力インクの開発

 商業用インクジェットプロダクションプリンター「TASKalfa Pro 15000c」に使用される、独自開発の水系顔料インクは用紙への浸透性が高く、印字後の乾燥スピードが速いため、紙に画像を定着させる際の電力消費量を削減することができました。
 また、独自開発インクは材料選定により高速印刷時のVOC低減を実現しました。オフセット印刷などアナログ方式の商業印刷分野では、印刷作業で発生するVOCを排気ダクトや回収処理装置などの設備導入を行うことで業界・地域の排出基準に適応させています。TASKalfa Pro 15000cは独自開発インクにより大量印刷時において少ないVOC排出量であるため設備導入は不要であり、商業印刷向けのプリンターでありながら環境負荷軽減に貢献することができました。

省エネコントローラーの開発

新開発の省エネコントローラー
新開発の省エネコントローラー

 消費電力の低減やCO2排出量の削減が求められる中、オフィスにおける複合機やプリンターの待機時電力の削減は重要な課題となっています。さらに、機器のスリープ状態からの印刷においても、お客様の操作性や生産性を極力落とさない利便性が求められています。
 そこで、カラーA3複合機「TASKalfa (ci)シリーズ」、モノクロA3複合機「TASKalfa (i)シリーズ」では、スリープ時の待機電力を必要最小限に抑えるとともに、スリープからの復帰時間をさらに短縮した当社が新規開発した省エネコントローラーを搭載しました。この新開発の省エネコントローラー搭載により、お客様の操作性や生産性を落とすこと無く、業界トップクラスのスリープ時待機電力0.5W以下を実現しました。

省資源設計

使用済トナーコンテナの再利用

 2016年7月に販売を開始した、カラーA3複合機「TASKalfa 6052ciシリーズ」では、使い終わったあとのブラックトナーのコンテナを廃トナーの回収タンクとして再利用できる機能を採用しています。従来、廃トナーの回収には、回収タンクが必要となり、廃トナーで一杯になった場合、別の回収タンクと交換しなければなりませんでした。しかしながら、使用済みとなったトナーコンテナを回収タンクとして再利用することで部品点数を削減でき、省資源化およびコストの削減を図ることができました。

使用済トナーコンテナをトナー回収タンクとして再利用

板金使用量の削減

 カラーA4複合機「ECOSYS M6535cidn」のフレームは板金部品にて構成されています。
 板金の厚さを薄くしても強度を確保できるよう、CAE※2による構造解析を行い、最適な形状を割り出すことにより、従来機と比較して約20%の軽量化を達成しています。下の2つの図は、CAEによる構造解析をもとにした、形状変更による省資源設計の例を示したものです。矢印はねじれの方向であり、色が赤くなるほど、板金にかかる応力が大きく、逆に青くなる程、応力が小さくなっている、ということを示しています。下左図では右上部に応力が大きくかかっていますが、赤くなっている部分の板金を厚くし、また左側面部に板金を追加するなどして強度を高め、逆にその他の部分の板金をできる限り薄くすることにより、使用される板金の量を削減しています。

構造解析による板金使用量の削減

※2 Computer Aided Engineering: 工業製品の設計・開発工程を支援するコンピュータシステム

包装材削減の取り組み

「WORLDSTAR 2023」を受賞した包装のカットモデル
「WORLDSTAR 2023」を受賞した包装のカットモデル

 当社では、梱包材の削減・輸送効率の改善を目的として、緩衝材の形状の工夫などによる梱包ケースのコンパクト化に取り組んでいます。また、古紙をリサイクルして作られたパルプモールドなどを使用することで、緩衝材の脱プラスチックも推進しています。

長寿命設計

 当社の製品コンセプトであるエコシスコンセプトは、プリンターの画像形成にかかわる機構部分を徹底的に長寿命化し、部品の交換頻度を少なくすることで廃棄物となる部品を削減しています。これにより、ランニングコストも抑えられ、環境にも経済的にもメリットがあります。当社独自のさまざまな長寿命化技術がこのコンセプトを実現しています。

長寿命a-Si感光体ドラムの開発

長寿命a-Si感光体ドラム
長寿命a-Si感光体ドラム

 エコシスコンセプトの根幹を成す a-Si(アモルファスシリコン)感光体ドラムは、1992年の初代エコシスプリンター「ECOSYS FS-1500」 に、業界No.1の長寿命 30万枚を誇るデバイスとして初搭載されました。
 2011年には 従来の a-Si 感光体ドラムの表面保護層に、ダイヤモンドに近い硬度を持つ さらなる高硬度で耐久性に優れたa-C(アモルファスカーボン)系薄膜を採用し、感光体ドラムの寿命は100万以上の耐久性を実現しています。
 さらに2016年からは、最表面層にドラム表面にサブミクロンサイズ(1万分の1ミリメートル)の微細凹凸形状を形成し、クリーニングブレードとの摩擦を約30%低減、周辺デバイスの長寿命化をはかり、感光体ユニットとして業界No.1の60万枚の長寿命を実現しています(Φ30mm 感光体ドラム)。

 また、摩擦を低減することで 感光体ドラム駆動時の電力も30%削減し、CO2排出量削減に大きく貢献しています。
 a-Si 感光体は 光感度が速く高速エンジンへの搭載を可能とし、またレーザー光により形成される静電潜像がシャープであることから、より高精細な画像形成を行うことを得意とします。

●長寿命a-Si感光体ドラムの構造図

長寿命a-Si感光体ドラムの構造図

長寿命PSLP※3有機感光体ドラムの開発

 複合機・プリンターに用いる感光体ドラムに、一般的な有機感光体(OPC)とは異なり、正帯電で用いることのできる「正帯電単層有機感光体ドラム:PSLP」も製品化しています。このPSLPドラムは、表面層の摩耗により感光体特性のバランスが崩れていく、一般的な多層構造の負帯電型OPCドラムと異なり、単層構造であるために、摩耗が進んでも感光体特性のバランスが損なわれず長期間安定的に保たれるという特徴を有しています。このドラムに当社独自の長寿命化技術を取り入れることで、一般的なOPCドラムにくらべて10倍以上の寿命を持たせることが可能になりました。PSLPドラムは、一般的なOPCドラムにくらべて製造工程が極めて単純であるため、製造時のエネルギーは、同規模の一般的なOPCドラムの製造工程の約1/3となり、製造工程におけるCO2の排出削減にも大きく貢献しています。

※3 Positive-charged Single Layer Photoconductor

●PSLPドラムの構造図

PSLPドラムの構造図

プリントヘッドの長寿命化

 
プリントヘッドクリーニングのイメージ
プリントヘッドクリーニングのイメージ

 インクジェットプリンターでは、プリントヘッド表面で乾燥してしまうインクや汚れを効果的に除去し、常にクリーンな状態に保っています。商業用インクジェットプロダクションプリンター「TASKalfa Pro 15000c」では、乾燥したインクを溶解させるクリーニング液を独自に開発し、ヘッド端部に設けた専用ノズルから供給し、ヘッド表面を拭くことで汚れを除去します。さらにクリーニング液のみでの仕上げ拭きや、ブレード自体の洗浄システムも組み込むことで、メンテナンスフリーで6,000万枚の印字を可能にしています。この洗浄システムの使用によりメンテナンス回数を削減でき、メンテナンス時に発生する廃液量の削減と水資源の保全の側面から環境負荷軽減に貢献します。

 プリントヘッドの長寿命化および独自インク開発は、技術的な進歩性および高いサステナビリティが認められ、令和3年度日本画像学会技術賞を受賞しました。

オフィス環境への配慮

 省資源、省エネルギーなどの環境配慮と同時に、お客様のビジネス環境における環境配慮も重要な技術的な課題になっています。当社の複合機・プリンターはオフィスにおける設置面積の小型化から、マシンの近くで働く方にも不快感を与えない静音設計や特に静かな環境が必要な場合に有効な静音モードの搭載、コンパクトな設計など、実際のビジネスシーンで求められる機能を装備しています。

静音設計

 当社は、静音性を達成するため、さまざまな工夫を製品に搭載しています。

冷却ファン削減

 カラーA4複合機「ECOSYS M5526cdw」は、熱源影響を低減するように配置設計することで、冷却ファンの使用個数を削減でき、ファンの動作音を抑えることができました。

●ECOSYS M5526cdwの機内における風の流れ

冷却ファン削減

本体駆動モーター削減

 カラーA4複合機「ECOSYS M5526cdw」は、プロセスユニット・給紙搬送ユニットを徹底的に低トルク化することで、作像モーター1個+搬送モーター1個の合計2個のモーターでの本体駆動を達成し、稼働音を抑えています。

本体駆動モーター削減

本体駆動モーター削減

●音の大きさの比較

  未搭載機 搭載機 倍率
カラーA4複合機
ECOSYS FS-C2626MFP
カラーA4複合機
ECOSYS M5526cdw
音圧レベル 50.0デシベル 49.0デシベル 0.89倍
音響パワーレベル 61.7デシベル 60.1デシベル 0.69倍

静音モードの搭載

 下記5モデルのカラーA4複合機・プリンターは、本機の動作音を抑えることで、静かに使用することができます。 常時静音モードに設定する、静音モードをオフする、もしくはジョブ毎に静音モードを設定するか、を選択することができ、音の大きさを、45-47デシベルまで軽減することができます。

※ 40デシベルは深夜の市内や図書館、50デシベルは静かな事務所における音の大きさの目安とされています。

●音の大きさの比較

モデル 音の大きさ
通常モード 静音モード
ECOSYS M6530cdn/P6130cdn 49.5デシベル 45.0デシベル
ECOSYS M6535cidn/P6035cdn 52.0デシベル 47.0デシベル
ECOSYS P7040cdn 53.5デシベル 47.0デシベル

コンパクト設計

コンパクト設計図

 2023年9月に販売を開始した、カラーA4複合機「ECOSYS MA3500cifx 」およびカラーA4プリンター「ECOSYS PA3500cx」は、以下を採用することにより本体の低背化を実現しました。

  1. 1. 原稿テーブル読取ユニットにCISモジュールを搭載することによるスキャナー高さの削減
  2. 2. LSU(Laser Scanner Unit、レーザープリンターにおけるドラムへの画像かき込み装置)において短焦点fθレンズ(レーザー光の走査にも用いるレンズ)の採用による光路長の短縮
  3. 3. 2次転写―定着間において用紙が引っぱることで画像欠損が発生しない極限まで搬送速度制御を高精度化したことにより実現した2次転写―定着間搬送路距離の短縮
  4. 4. 排出ユニットの高さを押さえることで用紙への搬送ガイドから受ける圧が高くなることにより発生する搬送ガイドトナー融着に対して、排出ユニットの冷却効率を高めることで小型化を実現

 これによりデスクトップ設置させた際のパネル視認性や、原稿台やドキュメントフィーダーに対してのスキャン原稿の取り扱い性が向上します。

●マシンサイズの比較

  未対策機 対策機 効果
カラーA4複合機
ECOSYS M6635cidn
カラーA4複合機
ECOSYS MA3500cifx
全高[mm] 620 575 7.2%削減
体積[L] 171.71 159.39 7.1%削減

オゾンフリー設計

 当社の製品には、a-Si(アモルファスシリコン)ドラム、PSLP※3有機感光体ドラムなど、オゾンの発生がより少なく、正(プラス)帯電で使用することのできる感光体を採用しています。そのプラス帯電の感光体とローラー帯電システムを組み合わせることで、従来の帯電方式にくらべ、さらにオゾンの発生を、測定が困難なレベルまで軽減しています。当社はこのオゾンフリー設計を2010年から導入しています。

●オゾンフリー設計図

オゾンフリー設計図

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