人的資本
人的資本に関する考え方
当社は、経営理念である「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」の実現に向けて、全員が経営に参画するアメーバ経営のもと、一人一人がオーナーシップを持って仕事に臨み、その持てる力を最大限に発揮できる環境を作るとともに、全従業員のやりがいやいきがいを大切にしてきました。当社の全員参加経営において、全従業員の判断そして行動の基軸となるのが、「人間として何が正しいか」をベースとする京セラフィロソフィです。当社がグローバルに展開し、多様な社員が働く中にあっても、この共通の考え方があることで、自らの意志、そして熱意をもって、より高みを目指した仕事を創出し、日々成長を続けています。
「京セラフィロソフィ」に、「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」が掲げられています。能力や熱意とともに人間として正しい考え方をもつことが何より大切だとする当社では、弛みなく京セラフィロソフィを継承するとともに、各人の能力、スキル、専門性を高める教育機会を提供することで、一人一人の持てる力を最大限に発揮し、個人と会社の成長を図ると同時に、全従業員のやりがい、いきがいの実現を重視しています。
人的資本強化への取り組み
多くの海外拠点を有する京セラドキュメントソリューションズグループでは、京セラフィロソフィの継承とその実践である理念浸透を目的に、グローバルに京セラフィロソフィの教育を実施しています。また、業務に関連したスキルや専門知識などの能力開発を目的とした様々な人材教育を実施しています。
理念浸透への取り組み
推進体制
当社では、京セラフィロソフィの浸透を図り、健全な企業風土を築くため、当社社長を委員長とする京セラドキュメントソリューションズフィロソフィ委員会を設置しています。経営幹部全員が出席し、これまでの京セラフィロソフィ教育ならびに浸透活動の結果をもとに、フィロソフィ教育方針を策定するとともに、浸透活動の方向性および具体的な施策を審議、決定しています。
京セラフィロソフィ教育

京セラフィロソフィが社員一人一人に浸透し、実践していくためには、繰り返し京セラフィロソフィを学ぶ機会を設けることが重要であると考え、各部門が主体となって活動するフィロソフィ浸透活動を継続的におこなっています。また、各職場においては、フィロソフィ手帳の輪読や稲盛デジタル図書館※を活用した学習を通してフィロソフィの浸透をはかっています。
※ 京セラ創業者の稲盛和夫の講話をPCやスマホ、タブレットで視聴できる会員制サービス
能力開発への取り組み
マネジメント教育
当社では、高度なマネジメント能力を備えた幹部社員の育成を目的に、組織のリーダーである責任者を対象とした役割別研修を実施しています。また、入社時から中堅社員へ、さらに中堅社員から経営幹部の各ステージにおいて、求められる業務遂行スキルや知識を段階的に身につける階層別研修により、マネジメント能力の向上を図っています。
技術・技能教育
社員の業務における専門能力や現場力、業務遂行力を培うことを目的として、通信教育機関と連携して、200以上の講座の受講機会を設けており、毎年多くの社員が受講しています。
ソフトウェア開発人材の育成
ソフトウェア開発の人材については、人材像の目標を『世界で通用するビジネスパーソン』として、自助努力だけではなく中長期視点で教育の機会を提供することで育成を図っています。定期入社者であるエントリー社員から中堅社員、リーダー層、マネジメント層とそれぞれの社員に求められる能力とスキルを明確にして、部門独自の教育体系図を構築して人材育成を行っています。特にエントリー社員については、配属後3年かけて設定した課題に取り組むことでスキルアップを促進しています。
グローバル教育
売上の約9割を海外向け販売が占める当社において、グローバル人材の育成は必要不可欠なタスクとなっており、その基本としての英語教育に力を入れています。eラーニングやスマートフォンアプリを活用した通信教育での底上げに加え、特に業務上英語を必要とする社員を対象としたTOEICスコア別のクラス編成によるオンライン英会話研修などを展開しています。合わせて、海外赴任が決まった社員に向けては、新任地での生活や業務が円滑に行えるよう、海外赴任前研修を行っています。
また、関連会社の経営幹部社員を対象に、健全で、収益性の高い経営の実現を目的に、フィロソフィをベースとしたマネジメント教育としてGM(General Manager)セミナーを定期的に開催しています。
さらに、京セラグループ横断の取り組みとして、米州、欧州、アジア・オセアニア、中国の地域ごとでセミナーが開催されており、毎年選抜された幹部社員に対して、トップマネジメントから直接の指導を受け、多くのグループ関連会社の社員が相互交流を行うことで、マネジメント全体の理解を深める場としています。
人材育成制度
当社では、従業員自らが自己の成長を意識し、プレゼンスを高められるよう支援しています。特に、個人の成長の大部分は、仕事を通じて実現されるものとの考えから、従業員一人ひとりが活き活きと明るく仕事ができ、一人ひとりの"持ち味"を最大限に発揮してもらう職場環境づくりに努めています。
階層別研修
当社では、階層別に従業員の成長をサポートすることを目的に以下の制度を実施しています。
新入社員研修
定期採用の新入社員に対しては、社会人としてのマナーや心構え、報連相の重要性など約1か月間、社会人としての基礎を教育する新入社員研修を実施しています。
育成プログラム制度
新入社員研修後、配属から約1年間を育成期間と位置づけ、育成担当者を任命し、育成計画書に基づく計画的なOJTを実施します。育成担当者には、比較的年齢の近い先輩社員を任命し、新人が気軽に相談できる環境を作っています。
入社3年目までの年次研修
職場定着、キャリア自律意識の醸成を目的として、3年目までの節目の段階で以下の取組みを実施しています。
- 2年目研修:
入社後を振り返り、成長するためにどの様な考え方を持つべきかを学び、将来どの様になりたいのか、成長するための熱意・意欲を喚起する。 - 3年目研修:
自立的に仕事を進めるために積極的、主体的に行動するスタンスを確立し、自らの役割と課題解決力を含めた実務能力の強化を図る。
課題研究レポート研修
入社4年目には、与えられた課題を処理するという従来の仕事の進め方から、主体的に業務改革を行っていくための能力を磨くことを目的として「課題研究レポート研修」を実施しています。この制度では、自らの担当業務のあるべき姿と現状とのギャップを明らかにすることを通じて課題形成を行い、実際の業務において課題解決に取り組み、その成果をレポートにまとめ、部門の幹部に発表する機会を設けています。さらに、部門の代表を選出して、全社にて発表する機会も設けています。
昇格時研修
資格昇格時研修は、従業員が昇格した際に必要な知識やスキルを習得し、業務においてその資格を最大限に活用できるようサポートするためのプログラムとなっています。
キャリアデザインセミナー
35歳、45歳、55歳では、キャリアデザインセミナーを実施しています。自身の経験を振り返り自分の中の「財産」に気付き、その後のキャリアプランと人生設計を考える機会としています。特に55歳のセミナーでは、55歳以降、さらには再雇用終了後のプランも見据えて研修を実施しています。
主体的な学び支援(通信教育)
当社では、従業員の能力向上とキャリア発展を支援するために、通信教育プログラムを提供しています。このプログラムは、さまざまな分野にわたる専門知識やスキルを身につけるための学ぶ機会を提供し、個々のキャリアパスに沿った学びをサポートします。受講開始時に費用は個人負担となりますが、計画通りに修了した場合、補助金を支給する制度も設けています。
社内公募制度
当社では、新規プロジェクトの立ち上げや事業拡大など、京セラグループとして早期に人材投入が必要な部門の求人情報を社員へ公開する「社内公募制度」を設けています。社員自らの意思でさまざまな仕事を経験できる機会を提供することで、社員のキャリアアップの支援をしています。また、会社として人材の最適配置を実現することを目指しています。