2018年度特集
生物多様性保全の取り組み
京セラドキュメントソリューションズでは2012年より生物多様性保全活動をEMSの活動に組み込み、国内の各事業所で生物多様性リスク調査を行い、その結果をもとにリスクの改善に取り組んできました。2016年からは生物多様性の保全活動に重点をおき、今では店頭で見かけなくなった「なにわの伝統野菜」の復活に取り組んでいます。
また社会貢献活動の一環として、「琵琶湖での外来種駆除活動」および「三草山ゼフィルスの森保全活動」などの生物多様性保全活動にも取り組んでいます。
*当社は国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)が運営する「にじゅうまるプロジェクト」に登録しています。
「にじゅうまるプロジェクト」のホームページは、こちらをご覧ください。
なにわの伝統野菜の栽培
当社では、生物多様性保全活動の一環として、大阪府が認定する「なにわの伝統野菜」の復活に向けた栽培活動に2016年4月から取り組んでいます。これまで栽培してきた「玉造黒門越瓜(しろうり)」「勝間南瓜(こつまなんきん)」、「天王寺蕪(かぶら)」「田辺大根」に、2019年度は「鳥飼茄子(とりかいなす)」を加えた5種類を構内で栽培しています。
大阪は「天下の台所」と呼ばれたように、古くから食文化が栄え、大阪の食を支える独自の野菜が多数ありました。しかし戦後、野菜の安定した供給のために品種改良が進められ、大阪独自の野菜が次々と消えていきました。そこで近年、大阪府では今では店頭で見かけなくなった大阪独自の野菜を「なにわの伝統野菜」に認定し、復活させる活動を推進しています。
当社は、本社のある大阪市中央区玉造の伝統野菜の一つである「玉造黒門越瓜」をはじめとした「なにわの伝統野菜」を構内で栽培し、消えゆく伝統野菜の復活活動に取り組んでいます。
これまで栽培した玉造黒門越瓜は浅漬けにし、当社で開催される夏祭りで地域住民を中心としたご来場者様へ試食配布を行っています。そして2018年度からは地域の福祉施設様と連携して、勝間南瓜を使用したパン・クッキーの社内販売会を開催しており、地域の皆様とともに生物多様性の恵みを身近に感じる機会となっています。また、社員食堂では夏季は玉造黒門越瓜と鳥飼茄子の浅漬け、冬季は天王寺蕪と田辺大根のかぶら汁を提供し、「なにわの伝統野菜」を通して社員の生物多様性保全活動への認識の向上を図っています。
都市化が進み農地が減ってしまった今だからこそ、都市の中心で地元大阪の伝統野菜を復活させるという活動は、大阪市に本社を構える企業として大切なことだと感じています。
当社は経営思想「共に生きる(LIVING TOGETHER)」のもと、今後も引き続きさまざまな形で生物多様性保全活動に取り組んでまいります。
大阪府の「なにわの伝統野菜」に関する取り組みについては、こちらをご覧ください。
当社が現在、栽培に取り組んでいる「なにわの伝統野菜」は、次の5種類です。
夏期栽培 4月~8月
- 玉造黒門越瓜(たまつくりくろもんしろうり)
- 大坂城の玉造門(黒門)付近が発祥地。長さ約30cm、太さ約10cmの長円筒型の瓜。
- 勝間南瓜(こつまなんきん)
- 西成区玉出町(旧勝間村)が発祥地。1kg弱の小型の日本かぼちゃ。
- 鳥飼茄子(とりかいなす)
- 江戸時代に摂津市鳥飼地区の特産品であった丸なす。
ソフトボール大の大きさ、やや下ぶくれの丸なす。
冬期栽培 9月~3月
- 天王寺蕪(てんのうじかぶら)
- 天王寺付近が発祥地。直径約8cmの扁円型の小蕪。
- 田辺大根(たなべだいこん)
- 東住吉区の田辺地区の特産であった白首大根。長さ約20cm 、太さ約9cmのずんぐりとした大根。
●以下は、玉造黒門越瓜・勝間南瓜・鳥飼茄子の栽培から収穫までの記録です。
VOICE
社員栽培ボランティアの声
多様性が大切と言われる今、私たちが日頃食べている野菜は、形がよく大量生産しやすいように品種改良され、どんどん画一化されています。一方、伝統野菜は形が不ぞろいだったり、成長が遅いなど、生産効率はよくありませんが、貴重な遺伝子が宿っています。
私たちは地域の一員として、この土地の歴史や文化の重みを感じながら、「なにわの伝統野菜」の貴重な遺伝子を守り育て、後世に伝えていきたいと思っています。
玉造黒門越瓜復活の地
玉造稲荷神社 鈴木伸廣禰宜からのコメント
玉造黒門越瓜は、大坂城の玉造門(黒門)付近で江戸時代に栽培され、その質の良さから浪花名産となりました。玉造門のあった場所の筋向いとなる京セラドキュメントソリューションズ本社の敷地で栽培されるこの瓜は、まさに200年の時を越えたタイムカプセルのように思えます。この門を往来する人々で賑わった当時を回顧し、この瓜の成長する様子を語り合い、また高い栄養価をもつその味をぜひこれからも楽しんでいただきたいと願っています。
その他の生物多様性保全活動
琵琶湖における外来種の駆除活動(日本)
本社・枚方工場では、2011年度より、琵琶湖南部の大津市なぎさ公園(滋賀県)で、琵琶湖の生態系に深刻な悪影響を及ぼす、ブラックバスやブルーギルなどの外来種の駆除活動を行っています。また、活動終了後には、なぎさ公園の清掃活動も合わせて行っています。
琵琶湖は淡水魚の重要な生息地となっています。滋賀県全体で外来種駆除を推進しているにもかかわらず、外来魚の生息量は年々増加し、琵琶湖における外来魚の生息量は約1,240トンいると推定されています※。
※ 滋賀県水産課公表のデータより
三草山ゼフィルスの森保全活動(日本)
本社・枚方工場では2010年度より、大阪府の最北端、能勢町にある「三草山ゼフィルスの森」の保全活動を行っています。三草山は大阪府の能勢町と兵庫県猪名川町の府県境に位置する標高564mの低山です。頂上付近には、広葉樹林の雑木林に覆われ、野生動植物の住処となっているゼフィルスの森が広がり、そこには、日本に生息する希少種のミドリシジミ類のゼフィルスという蝶25種類のうち10種類が生息しています。この地域は大阪府自然環境保全条例に基づき、緑地環境保全地域に指定されており、「日本の棚田百選」にも選ばれている、昔ながらの里山の風景を残した場所です。保全活動では、蝶の幼虫の餌と なるナラガシワ・ヤマハンノキ・イボタノキの苗を植樹するとともに、それらを鹿が食べることを防ぐための防鹿柵や登山者向けの看板の補修も行っています。
松名瀬干潟の清掃活動(日本)
玉城工場では地域貢献活動として、毎年、三重県松阪市の櫛田川河口部に広がる「松名瀬干潟」の清掃活動を実施しています。松名瀬干潟は3種類の干潟が整った伊勢湾最大級の干潟で、海浜植物や水生生物など豊かな生態系が築かれた貴重な干潟です。NPO自然観察の指導員である三重中学校の先生やその教え子である中学生の皆さんから、干潟に生息する生き物などの説明を受けながら、海岸に散らばるゴミを参加者全員で拾い集めています。
蜂の居住地の保全活動(ドイツ)
ドイツでは、国内に生息する蜂のうち、約半分の種が絶滅の危機に瀕しています。また、国内の顕花植物(花を咲かせる植物)のうち80%以上が蜂の受粉に頼っています。その結果として、ドイツの生態系が破壊されつつあります。ドイツ国内の生態系保全のため、京セラドキュメントソリューションズ ドイツは、未来のために蜂の居住地を保全する活動を行っている、"Beefuture" という環境保護団体に協力し、3名の従業員に対し、会社が購入した蜂の巣箱を提供しました。今後、"Beefuture"が派遣した養蜂家が、従業員の家に訪問し、定期的に蜂の世話を行う予定です。
植樹活動(フィリピン)
京セラドキュメントソリューションズデベロップメント フィリピンは、セブ市の近郊の山岳地帯などで植林活動を行っています。この活動は、環境保全活動の一環として行われ、植林活動に参加した社員は、マングローブやマホガニーの苗を植えています。