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2013年度特集
品質向上への改革 その2

よりよい製品を市場に送り出すために

最も品質の高さが問われるのは、新たに製品が市場に出たときです。今回の改革では、ここにもポイントを置きました。従来の経験値による評価に加えて、起こりうる可能性がある問題を事前に予測して評価し、さらに高い品質の製品をお客様にお届けする取り組みを行っています。

評価の変革

設計思想と技術を理解し製品評価に臨みます

信頼性保証31課 野呂誠 写真
信頼性保証31課
野呂誠

製品の品質保証を担っている私たちは、それが市場に出せるレベルかを評価し、また販売後の不具合に対しての是正をして再発防止に努めることが大きな役割です。過去のデータや経験をもとにした基準に基づき品質を評価するのですが、それでは変化するニーズや使用条件の異なる世界各国のユーザーの要望を満たせなくなるのではないかとの懸念がありました。そこで、今回の改革では「私の理解シート」による新しい評価基準を導入したのです。

新たに販売される製品に対して作成される「私の理解シート」に、まず技術部門から聞き取って各自が理解した新技術や設計変更内容、動作要件・メカニズムを左右する因子を踏まえ、どういう評価が必要かを書き込んでいきます。その後、品質部門の関係者が集まって、予想される課題についてディスカッションを行い、全員の知見や想像力から生まれた着眼点が書き加えられます。こうして従来の基準では見逃してしまいがちな案件や、異なる視点からの課題といった新しい項目が記されていくわけです。

 

これを使って評価することによって、販売予定の製品の品質の検証をさらに深めることで、起こりうる問題を開発段階から未然に防ぎ、お客様でのダウンタイムをさらに少なくするという取り組みです。

「私の理解シート」を用いたディスカッション
「私の理解シート」を用いたディスカッション

検証の変革

製品の限界を見極め予知情報まで発信します

信頼性保証33課 堀 喜一郎 角島 成徳 写真
信頼性保証33課
堀 喜一郎  角島 成徳

私たちは、技術的背景を理解したうえで製品の限界を知り、限界を超えた場合の現象を把握して、故障モードを想定した情報提供をしています。従来は評価基準書をベースにして、製品仕様に記載している機能や性能を満足する製品であるかどうかで合否判定してきましたが、量産による性能のバラツキや、その原因に対してまでは十分把握しきれていませんでした。そこで問題が出る範囲やレベルを徹底的に実証しながら見極めたうえで市場に出すべきだと考えたのが、イノベーションのポイントです。

実証試験の結果もいろいろで、「そこまでやれば当然壊れる」といわれたり、反対に何万回と繰り返しても、なかなか壊れず限界が見えないこともありました。経験上この形状でなければ、この材料を使わなければと、コストのかかる材料をずっと使ってきたことが、実は過剰品質だったと分かったこともあります。

 

しかし、スペックの高低、定期メンテナンスの有無、これまでは取るに足らないと思われていたマイナーチェンジ、さらには納入先の国民性や気候・環境など、あらゆる条件あらゆる市場でどういう性能を発揮すれば一番お客様に喜ばれるのか判断するために、新しい視点を設けることは、品質の向上に不可欠だと考えています。

粉塵試験
粉塵試験
カセット耐久試験
カセット耐久試験
低温環境試験
低温環境試験

市場情報をもっと生かすために

製品が市場に出たあとに発生するさまざまな問題は、製品を開発・改善していくうえで大きな参考資料となります。今回の改革では、その貴重な資源をより有効に生かすために、収集方法や分析方法に対する着眼を変えていきました。

情報分析の変革

グローバルな市場データ分析と経営的活用を目指しています

品質保証13課 熊本秀近 写真
品質保証13課
熊本秀近

私たちのグループの役割は、製品やサービスの品質に関わる市場データを世界中から収集・分析し、関連部門にフィードバックすることです。現在、製品開発や保守・サービスにおける課題解決のための提案を、より具体的かつスピーディーに行うことを目的として、お客様先の製品から収集する稼働データ、サービスマンによる保守・サービス活動データ、保守パーツの出荷情報、コンタクトセンターの受電記録などのデータを国内外から幅広く収集し、多変量解析等の統計的手法やテキストマイニングにより、品質リスクや障害要因を統合的に分析するシステムを構築しています。このシステムから得られる分析データを経営のバックデータとして活用することで、製品やサービスの継続的な品質向上を図るとともに、お客様の潜在的なニーズを汲み上げることを目指します。

分析したデータをディスカッションして検証
分析したデータをディスカッションして検証

情報収集の変革

海外販社との電話朝礼で問題の芽をキャッチしています

品質保証21課 林浩二 写真
品質保証21課
林浩二

私たち販社市場サポートチームは、主にヨーロッパおよびオセアニアのさまざまな問い合わせや故障情報の窓口として、関連部門と連携し調査・回答を行い、製品の品質改善や次期モデルへの反映を担当しています。そこで常にネックとなっていたのが、時差や距離のために情報収集の洩れや対応の遅れが生じることでした。これを解消するため、2012年から、海外駐在の日本人テクニカル担当者と15~30分程度話し合う電話朝礼を開始したのです。毎日ダイレクトに情報交換ができるこの方法は、見過ごされてきたような小さい問題などを火種のうちに解決でき、将来的に起こりうるトラブルの予測材料にもなると、定着しています。

テレビ会議システムを利用した海外との朝礼
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